以前、plentyにとって初となる東京でのワンマンライブを観に行ったという野田洋次郎。その印象を「あまりの細さにマイクスタンドかと思った」とユーモアを込めて語りながらも、江沼郁弥の声に魅了され、以来1年ほど自家用車で「拝啓。皆さま」を聴き続けたと言う。
今宵、実に6年越しとなる待望の対バンライブが実現した。
先陣を切ってステージに登場したplenty。
「拝啓。皆さま」収録曲『ボクのために歌う吟』で幕を開ける「RADWIMPSの胎盤」第三夜。
繊細な中にもどこか芯のある歌声が静寂を極めた会場に響きわたる。
体を微かに揺らしながらも一時も逃さないよう息を呑んで聴き入るオーディエンスにシンプルながらも強い3人のアンサンブルが呼応していた。
この日は、7月リリースのシングル「よい朝を、いとしいひと」をはじめplentyの様々な楽曲に参加し、10月の日比谷野外大音楽堂ワンマンライブでも共演した、シンガーソングライター「sébuhiroko」のキーボードが華を添え、野田が「たった二人きりになれる音楽」と、その魅力を表現したplentyの音楽がZepp Nambaを包み込んだ。
そして、RADWIMPS。
約1年半ぶりとなる大阪公演はこのツアーで初披露となるツインドラムを擁する5人編成。
サポートドラムの森瑞希と刄田綴色を軸に、よりタイトに、ダイナミズムを増す5人のアンサンブルは繊細ながらも生命力溢れる歌声をより響かせた。
10周年ならではのセットリスト。次から次に披露される楽曲は、イントロから既に大歓声。
大合唱に揺れる会場、それを操るかのようにフロントの3人がステージを駆け回る。
なんばに移設してからは初となるZepp公演では、シンプルながらもアリーナ公演さながらの演出が、より一層5人のパフォーマンスを引き立てる。中盤はこの編成ならではのセッションで、バンドの新たな一面を垣間見ることができた。
ツアーも3公演目を迎え、バンドとしての熱量の高まりは、RADWIMPS10年の歩みをはっきりと確信させるステージを加速させる。
アンコールでは、plenty江沼を野田が呼び込み、江沼が好きだという「37458」も披露。
江沼と野田が交互に歌い合うその姿、聴き手の体をそっと預けさせるような優しさを感じさせると共に、その詞の強さに思わず惹き込まれた。
10日はこの対バンツアーで初めてとなる先輩アーティスト、LOVE PSYCHEDELICOを迎える。
photo : 古溪 一道