RADWIMPS 2014 Document 4×4

NEWS

2014.12.18

GALLERY公開

GALLERYに未公開写真をアップしました。

2014.12.12

トークライブレポート公開

11/29(土)、12/3(水)に行われたトークライブの模様をREPORTに公開しました。

2014.11.29

特設サイト公開

RADWIMPS 2014 Document 4×4 特設サイトを公開しました。

PRODUCTION NOTE

映像作品「RADWIMPS 2014 Document 4×4」
監督 永戸鉄也さん インタビュー

永戸鉄也

永戸鉄也 ナガトテツヤ

アートディレクター、アーティスト
1970年東京都生まれ。
高校卒業後渡米、帰国後96年よりCDジャケットデザイン、ミュージックビデオのディレクション、
広告やドキュメンタリー映像制作等に携わる。
アーティストとしてコラージュ、写真、映像作品を制作、個展、グループ展で発表をしている。
2003年、第6回文化庁メディア芸術祭デジタルアート優秀賞受賞。
同年、トーキョーワンダーウォール公募2003・ワンダーウォール賞受賞

ドキュメンタリーは期せずして劇的になる

RADWIMPS初のドキュメンタリー映像作品となる「RADWIMPS 2014 Document 4×4」は、RADWIMPSのアートディレクターを務める永戸鉄也さんによって手がけられた。
ここ数年、バンドとともに歩んできた永戸さんだからこそ撮ることが許されたメンバーたちの素顔と本音。長いツアーに完全密着したからこそ、カメラに収められたアクシデントやハプニングの数々。
バンドの今をもっとも有りのままに記録することに成功したドキュメンタリー作品が、どのようにして生まれたのかについて、永戸さんに話を聞いた。

●撮影はほとんど成り行きのようにして始まった

──永戸さんは「おしゃかしゃま」のPVにコラージュという形で参加されたことから始まって、以後、RADWIMPS作品のほとんどすべてのアートディレクションを手がけてらっしゃいます。「絶体延命ツアー」では演出映像で一部参加されていますし、野田さんのソロプロジェクトillionのジャケットデザインやPVなど総合的なビジュアルワークも永戸さんによるものです。永戸さんとRADWIMPSの蜜な関係が続いているのはなぜだと思いますか。

永戸 それは、結局は洋次郎君と僕の関係に集約されるんです。どこかのタイミングで僕らは、お互い数少ない友達になってしまった(笑)。会う前に曲を聞いた時点からその予兆はあったんです。だから初対面の時から、僕も自分の全部を見せようと思いました。巻物のようになった自分の大きな作品をスタジオに何メートルも広げて、これが自分ですということで観てもらった。

──なぜ、自分の全部を見せなくてはならないとまで思ったのでしょうか。

永戸 曲を聞いてやっぱりすごいと思っていたんです。20代の彼が既存の価値観を一度全部なしにして、新たな宗教観を模索しようとしている。そこに心意気を感じました。僕と彼では歳が違うんだけど、僕にもそういう旅をしているような感覚があるんです。神がどうこうと語る彼に対しては、僕も僕が考えているもの全部を出さなくていけなかったんです。

──なるほど、そうなんですね。その永戸さんが、今回のツアー「RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継」のドキュメンタリー映像作品「4×4」を監督することになった経緯を教えてください。

永戸 洋次郎君と今回のツアーのリハーサルの前日に飲んでいたんです。そこで「ツアーの映像どうするの?」と聞いたら、「撮りたいんだけど決まってない」と言っていて、「じゃあ、俺、撮るよ」と。その晩のうちに企画書を書いて提出して、次の日は自分のカメラを持ってリハーサルの現場に行ったという。ほとんど成り行きに近い感じで始まりましたね(笑)。

──撮り始める前から、永戸さんの中ではこういう作品にしたいというのはあったのでしょうか。

永戸 その時は、ライブ映像とドキュメンタリーが一緒になったものを作ろうと考えていました。二つに分離したのは途中段階だったんです。僕は実は音楽のライブ映像というものが嫌いなんです。カットが変わりすぎるというか。僕がやるなら、カメラ1台か2台に絞って、ライブも全部切らないで見せて、曲の間にオフィショットとかステージの裏側を挟み込んだものしようと思っていました。いわゆる音楽ドキュメンタリーとかライブ映像との比較ではなく、僕だからこそ入り込めるようなものじゃないといけないと思っていました。結局はドキュメンタリーはドキュメンタリーとして独立することになって、それは僕にとってよかったことだと思っています。

──永戸さんはRADWIMPSのPVも監督されていますが、長編の映像作品となると、もちろんそれらとはまったく別物になりますよね。

永戸 PVの場合は音が決まっていて、それに対して映像を当てていくことになるので、僕にとってはそれほど面白いものではないんです。今回は素材を撮ったら、ある意味、全部自分のものにできてしまうわけです。僕の音楽センスも必要とされるし、コラージュを時間軸に置いた編集方法も必要というか、僕のやりたい形でできる。それを通してでき上がったものをお客さんに観てもらいたい。そしてメンバーにも観てもらいたい。それによって彼らの感覚のプラスになれれば、という思いが基本にはありました。

●バンド4人の関係性をどう見せていくのか

──約半年にわたっての44公演。アジア4カ国も含む長いツアーでした。どういう体制で撮影に臨んだのでしょうか。

永戸 飲んだ次の日は、僕が一人で自分のカメラを持って行って撮影したわけですが、そこから本格的にやることが決まって徐々に体制を作っていきました。塩田君、渡辺君にカメラマンをお願いして、スケジュールとか会場の規模を考えながら、三人でフォーメイションを組みながらすべての会場でカメラをまわしました。結果的に僕は28ヶ所に同行することになりました。

──カメラをまわし続けていくうちに、どのような作品にまとめていくかが見えてくるという感じだったのでしょうか。

永戸 それはありましたね。とにかく素材を集めていかないと何が軸となるかは見えてこないわけです。そして撮り続けていけばいくほど、ストーリーがどんどん作られていく。今回はツアー中にメンバーやスタッフのご家族が亡くなったり、自分が想像しなかったことが起こりました。

──今も記憶に残っているツアー中のエピソードとしてはどんなことがありますか。

永戸 武田君のお父さんが亡くなった次の日の韓国でのライブですかね。あの日はお客さんの盛り上がりもすごかったんです。僕には演奏もすごくよく聞こえて、一番うわっと心が動かされたライブでした。あとはこれを言うとメンバーには嫌がられるかもしれませんが、リハーサルでやっていた「五月の蝿」の歌なしのバージョンがすごく格好よかったことを憶えています。そういうシーンに立ち会えたのも密着していたからこそです。

──撮り続けていくうちに永戸さんの中でRADWIMPSのイメージが変わっていったということはありましたか。

永戸 それはあまりなかったですね。思った通りといったら変だけど、メンバーの性格とか関係性がより明確になったという感じで。バンドとしての4人の関係をどう見せていくかというのは考えました。洋次郎君は、洗いざらい見せるのがドキュメンタリーだという考えだったのですが、僕はそうではないと思っていて。長いツアー中というのはいろんな辛いことや大変なことも起こるんですが、その全部を見せる必要はない。自分の中で何を見せるか、見せないのか、ツアーを終えた段階で軸ができていました。

──全部を見せる必要がないとのことですが、それでもメンバーはこれまでのインタビューでは口にしていなかった踏み込んだ発言をしています。

永戸 それはそれぞれに相当長いインタビューをしたからです。一番長かったのは智史君ですね。まずツアー期間中に代々木公園で待ち合わせをして3時間くらいインタビューをしました。さらにツアーが終わった後に、僕が今住んでいる熊本県の阿蘇まで来てもらって、そこでも話を聞きました。阿蘇では僕の家に泊まってもらったんですけど、ツアーの緊張感から解き放たれた、「RADの智史」から離れた状態の彼と話をすることができました。僕も彼に対して思っていることを全部話して。そうまでしたからこそ聞き出せたことがあったと思います。武田君とも公園でお酒を飲みながら3時間、その後、沖縄のホテルで1時間。桑原君が一番短かったかな。桑原君は「酒を飲むと頭の回転が早いんだよね」と聞いていたから、一緒に飲むつもりで酒を用意してたんだけど、その日は二日酔いで飲まなくても大丈夫って言って、けっこうべらべらとしゃべっていた。「なんだ、クワって結構じゃべれんじゃん」って思いました(笑)。彼らがバンドや洋次郎君をどう思っているかってことは、ずいぶん聞けたと思います。

●スタッフやファンにもインタビューした理由

──今回の作品にはメンバー以外にも、トランポ(ライブ機材を運搬する係の人)や音響などのスタッフへのインタビューも収録されていますが、そこにはどんな意図があったのでしょうか。

永戸 一番最初に「仕事」をテーマにしていこうという考えがあったんです。メンバーは仕事としてステージに立っているし、スタッフも仕事としてそこにいる。お客さんは仕事として観にきているわけではないけど、自分やお父さんお母さんが仕事をすることで得たお金を使ってライブに来ているわけですよね。みんなの仕事とそれについての思いというのがあって、ああいうステージができ上がっているというのを見せたかった。それはメンバーに対して見せたいということでもあるんです。メンバーはファンとそんなに触れ合えるわけではないし、スタッフのことも直接かかわるところ以外は見えない部分も多いわけです。僕が作ったものである以上、メンバーにも刺激を与えるものにしたいという思いはあるので、彼らが普段見えないものや、見えない角度からRADをめぐる状況を見てもらいたいというディレクション上の意図もありました。

──今回のツアーは、バンド4人の一体感がこれまでにないくらいに出ていたと思うのですが、永戸さんにはどのように見えていましたか。

永戸 それはすごくあったと思うんです。仕事という言葉とも関わってくるのですが、メンバーのみんながより明確にプロとしての自覚を持ち始めている。洋次郎君にしても、エンターテインメントであることを受け入れ始めているからこそ、パフォーマンスがぐっと上がってきているというのはあると思うんです。彼が考えているよりもRADは世間に受け入れられている。その状況が分かった上で、背負っていかなきゃいけないものは、ちゃんと背負っていこうという覚悟が出てきたというか。彼へのインタビューで「職業はなんですか?」という質問をしているんですが、そのあたりのやり取りからも今の心境は伝わると思います。

──「4×4」というタイトルは、やはり現在のバンドの状況から浮かんできたタイトルなのでしょうか。

永戸 そうですね、撮り続けていくうちにタイトルはこれしかないなと。一番最初にあったイメージはゴダールが監督したローリング・ストーンズの「ワン・プラス・ワン」という映画……それは史上最長かつ難解なPVと言われているんですが……があって、そのタイトルの語感とか記号的な雰囲気がいいなと思っていたんです。RADとして仕事に向かう4人と、素の人間としての4人、それを対にして走っていくようなイメージを表現するには「4×4」という言葉がぴったりだなと。4つの車輪でみんなが走りつつ、バンドも走っているという。ツアーのタイトルも「GRAND PRIX」だし、僕も含めてみんなが移動しながら、走りながらツアーをやっていたということでもあります。そして、僕がもうすぐ44歳になるっていうのもあったりします(笑)。

──まさにこれ以外にないというタイトルですね(笑)。メンバーの様子が克明に記録されていますが、同時に会場に集まるファンの声も丁寧に拾われているという印象を受けました。

永戸 会場に通うごとにファンとも交流が深まっていって、チームとか名前を付けているコアなウインパーたちとも話をするようになっていきました。彼ら自身の仕事のこととか、RADの歌を杖のようにして生きているという思いを聞いていくうちに、僕の中で見えてくるものがあったんです。彼らのツイッターもチェックして、何人かにはダイレクトメッセージを送って直接インタビューを撮りにもいきました。中には何時間も話を聞かせてもらった人もいます。作品の後半に収録されている、ファンが作ったアルバムと寄せ書きをRADに渡すというイベントもその流れで僕が企画したものなんです。

──そうだったんですね。あのアルバムと寄せ書きはどういうものなのでしょうか。

永戸 各会場で、ファンの集合写真を撮っている熱心なファンの男の子がいて、その彼とよく話すようになったんです。彼がグッズの列に並んでいるファン達に寄せ書きをしてもらうようにしたら、ものすごい数のメッセージが集まったと言っていて。じゃあそれをメンバーに渡そうよと約束をしたら、彼らが全国のファンに呼びかけて、ファン達の自撮り写真をたくさん集めて、それをアルバムにして持ってきてくれたんです。沖縄会場の近くのガジュマルの木の下で、そのアルバムと寄せ書きを彼がマネージャーに渡すという儀式が行われました。それと僕はたくさんのファンと話をした中で、メンバーに伝えてほしいと言われたことは全部、本当に伝えましたよ。

●「RADを観るな! 映像を観ろ!」(笑)

──この映像作品には、メンバーを撮影する以外にも膨大な時間と労力が費やされているということですね。

永戸 やるんだったら徹底的にやりたかったんです。僕の仕事の仕方としていつもそうなんですが、ハッタリできているところがあるんです。初めてPVの依頼がきた時も、PVなんて撮ったことないのに「できます!」って言ったし、デザインの仕事も「できます!」って言って乗り越えてきた。今回も長編のドキュメンタリーは初めてなんだけど、「絶対撮れるから!」って言って始めたことなので、徹底的にやって結果を出さないといけなかった。だからメンバーにとことん密着したし、ファンとの交流にしても、やれることは全部やろうという気持ちだったんです。ツアーの期間中は、他の仕事はほとんどせずに、この作品に専念していました。

──永戸さんの思いが詰った「4×4」を、ファンのみなさんにはどういうふうに観てもらいたいですか。

永戸 今のRADがどういうバンドなのかは、これを観てもらえればよく分かると思います。でもあえて言うならば、「RADを観るな! 映像を観ろ!」ですかね(笑)。もちろんそんなことはありえないんですが、メンバーのオフショットを観て、ワーッて思うだけじゃなくて、音の使い方とかカットのタイミングなんかにも注意してもらいたいんです。これまでのジャケットのアートワークにも僕自身が持っている美術的なものを滑り込ませておいて、ちょっとでも面白がってくれる人がいるといいなと考えていたんですが、今回の映像でも、視覚的、聴覚的効果にすごく気を配っています。そういうところもRADファンならきっと面白がってくれるはずだと思っています。

REPORT

「RADWIMPS 2014 Document 4×4」
永戸鉄也監督トークライブ 完全中継

VIDEOS

「RADWIMPS 2014 Document 4×4」Trailer