すずめの戸締まり

 本日、新海誠監督 最新作「すずめの戸締まり」公開。
 サウンドトラックも同時リリース。
 サウンドトラックには、映画本編に使われていないが野田洋次郎が歌う新曲「Tamaki」と「すずめの涙」が収録されている。新海監督から送られて来た脚本を読み、感想を伝えるラブレターのように詞と曲が作られた。
「Tamaki」とは、映画に出てくる「岩戸環(いわとたまき)」を指している。この声を務めた深津絵里さんは、この曲を聴きながら役作りをしていったそうだ。
 主題歌「カナタハルカ」のビデオも公開し、そして今夜21時「ミュージックステーション」にRADWIMPSが登場、「すずめ feat.十明」 と「カナタハルカ」の主題歌二曲をテレビ初披露。しかも、新海監督が手掛けた映画のスペシャル映像とコラボしながらの出演。
 今回主題歌を歌う女性ボーカル、十明(とあか)もMステに登場する。
「100年前でも100年後でも響いていると思える声」を探して、メンバーとスタッフで大捜索をした。最終的にスタッフがTikTok で歌う十明を見出し、監督もRADWIMPSも「この声しかない」ということになった。
「十明が歌い出した瞬間、彼女の声でこの歌は歌われなければいけないと感じました。瞬時に。この楽曲と十明の間に、誰も割って入ることのできない強い結びつきを感じたのです」
 こう洋次郎は語っている。
 彼女は、声が漏れないように自宅のクローゼットに籠もり、iPhoneで歌を録音していた。それ以外、レコーディングもしたことがなかった。
 オーディションでRADWIMPSのスタジオに訪れた時に、初めてマイクで声を録音したという。いきなり新海監督やRADWIMPSのメンバーがいるスタジオで、歌を歌う。
「気軽に楽しく歌ってください」と言われても、緊張で話す声は震え、かすれていた。
 泣き出すようなブレスのあとに、あの「ルールルルルルールー」 が聴こえて来た時、スタジオでみんなは身体を硬直させるように聴き入っていた。
 新海監督はこのブレスを聴いて、最初の映画の特報を十明のブレスから始めることにしたそうだ。
 もちろんテレビ初出演。お楽しみに。

 ここまで書いただけで、盛り沢山である。
 我々としては、精一杯の盛り沢山。
 それもこれも、二年間格闘してきた成果を一気にお披露目しているからである。
「過去二作とははっきりと違う音楽が必要になる映画だと思いましたし、今までよりもずっと鮮烈な音楽体験を観客に与えたかったのです。そのための方法を一緒に探してくれるのは、やはりRADWIMPSだと思いました」
 こう語る新海監督が追い求めた、新たな劇場体験。
 海外の大作映画にも負けない迫力を出そうと、前の二作とは違いオーケストラはロンドンのアビーロードスタジオで録音された。
 今回新たに加わった作曲家、陣内一真さんとはそこで作業をした。
 映画音楽やゲーム音楽など多岐に渡って長年創作をされてきた作曲家が、映画にもたらしたスリリングなオーケストレーションは是非劇場で体験して欲しい。
 ロンドンでの陣内さんと洋次郎の会話で、印象的なことがあった。
 映画の音は、音楽とセリフと効果音(自然音も含み)で出来ている。
 その三つのバランスが全て、ということだ。
 セリフが一番重視されるので、言葉が聞き取れなくならないように音楽は音量が絞られてしまうケースが多い。効果音は絵に合わせて出るから、小さめな音でも観客は分かりやすいのでこれも音量を絞られがち。
 迫力を出すためには、その三つのバランスをとことん突き詰める必要がある。セリフがしっかり聴こえながらも、音楽の低音がずしんと身体に響く。そんな音響を作り上げようと、熱く語り合っていた。
 そうして、音楽とセリフと効果音のバランスを取るダビングステージに二人は張り付き、完成披露試写の直前まで監督と調整に没頭していた。
「とことん突き詰める」の言葉どおり、連日朝までの過酷な作業となった。
 これも、前二作にはなかったことである。
 是非、劇場で。

(追記)
 RADWIMPS公式ノンフィクション「あんときのRADWIMPS 人間開花編」が 11/18に発売になります。今回は、アルバム「絶体絶命」から「人間開花」に至るまでのお話です。
「是非、劇場で」みたいに言うと、「是非、本屋で」となってしまいますね。これだと立ち読みだな。武田が素晴らしい寄稿をしてくれているので、そこだけでも是非。立ち読みでもいいので、手にとってみてください。

ワタナベ

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03:11

Comments(8)

コメント(8)

まちゃきち

11月11日、21:45〜のレイトショーですずめの戸締りを観てきました。 一言では言い表せられない感情が自分の中から沢山溢れてきて、止まらなくて、気が付くとそれが涙となって外に出てきていました。新海さんが私たちに届けたかったことが何となく、分かりました。 そして劇中の音で、なんだか久しぶりにRADWIMPSに会えた気がしました。映画の色んなところで洋次郎や武田、くわちゃんの顔が浮かんできて「やっと会えた」と感じられました。 改めて、RADWIMPSは私の生きていく理由です。 また数回映画館に会いに行きます。

yuki

すずめの戸締まり、公開初日に見てきました。 事前情報も新曲も、ほとんど見ず聞かずに映画館へ赴きました。最高の環境で、初見の状態で全てを受け止めたいと。 言わずもがな最高でした。 作品のテーマ性、これまでRADWIMPSが私達に伝えてきてくれたメッセージ、社会や時代の流れ、自分の生活、いろんなものが絡み合って繋がって…。思考や感情があちこちにいってしまって、胸の奥がまだザワザワとしています。それくらいこの作品から受けた刺激が大きかったです。 ありがとうRADWIMPS。 Mステも見ました。桑の顔見れて良かった。 どんな形でもRADが音楽を続けてくれることが嬉しいです。 「あんときのRADWIMPS」も楽しみです!

DADAっこ

ありがとう 大事に届けて下さって 大事に大事に受け取ります RADWIMPSを好きでよかった RADWIMPSに出会えてよかった RADWIMPSの作る音楽を心地いいと思える自分でよかった

みこ

はい。 全身と小さな心では受け止めきれそうもないほどの映画制作に関わった方たちの想い、しかりと受け取りました。 心して劇場へ。 心してポストに届くラブレターを待ちます。

LEXUS

「ミュージックステーション」の2曲、素晴らしかったあ。 ブレスからの「ルールルルルルールー」がイントロなんですね。 「すずめストリングス」も最高だったし。 こりゃ、劇場で観ないと。 *本も読まないと。

やどかり

Mステ楽しみです。映画もまだ観てないので、しっかり受け取りに行きます。2年半の集大成、ついに日本中に届くんですね。 音響にこだわった映画、IMAXで観ようと思ってます。楽しみです!! あんときのRADWIMPSもとてもとても楽しみです。武田さんの寄稿も。

市川利佳

家族 子供 介護などに追われ なかなか自由な時間が取れないので映画館へ気軽に行かれなくて本当に申し訳ない気持ちです😭 いつもいっつも洋次郎 "RAD"からたくさん貰っているのに…ごめんなさい。 でも絶対行くと決めています! なべさんの書く言葉が大好きです! 立ち読みなんかでは、勿体ない。 ラリルレコードで予約しています!手に取るのを楽しみにしています! これからもずっとずーっと応援します! これからもどうぞよろしくお願いいたします😊🌹 "RAD"に洋次郎にかかわる全ての人が大好きなのだ!😊🌹❤️

そらな

なべさん、改めて、すずめの戸締まり公開、アルバム発売おめでとうございます!!! わたしは11/7に先行上映として観て、今日最速上映も観てきました。 君の名は。や天気の子とは違い、また新しい映画になったのかなってすごく思います。新海さんの考える世界観が好きなのですが、そこにちゃんとRADWIMPSの音楽が合っていて、観ていてすごく楽しかったです。 劇中にはない、Tamakiとすずめの涙を映画終了後に聴いて、この二曲もめちゃくちゃいいな〜!!!ってなりました。 笑 これからのすずめは、頑張って看護師になるのかなって思うと、少し嬉しいです。笑 また、映画観に行きたいです。 書籍も楽しみです。でも、読むのちょっと怖いです。あの時の智史君の、RADWIMPSことを、考えると心がズキっとします。でも、なべさんの紡ぐ言葉だから、ちゃんと受け取って、大事にしたいです。あの時はただRADWIMPSが決めた事を信じて、私は音楽を聴いていきたいって思っていたからなあ。 これからもRADは私の心の中にあって、いつも助けてくれる味方です。本当にありがとうございます。RADWIMPSが大好き。なべさんもスタッフさんも変わらず大好きです。 また、会えるの楽しみに仕事も頑張ります。毎日を大切に生きたいです。 忘年会、ぜっったい、当たりたい!!笑

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