「FOREVER IN THE DAZE TOUR 2021-2022」、そして「KANASHIBARI feat.ao」

 三年ぶりにリリースしたアルバム「FOREVER DAZE」のツアー、「FOREVER IN THE DAZE TOUR 2021-2022」。
 このツアーほど、解体と再生という言葉が似合うツアーはなかった。
 満を持して準備をしてきたドームを中心としたツアー、「こんにちは日本 ~KONNICHIWA NIPPON~ TOUR 2020」が、コロナで一箇所ずつ延期になっていった。
 次の公演から、LIVEができるようになるかもしれない、と希望を持っていたが、それもまた延期、その次も延期、と崩れていった。
 一ヶ月以上に渡って入念なリハーサルを繰り返してきたバンドにとって、それはゆっくりと首を絞められるような、まさに目に見えないものに蝕まれ、なんとも虚無感に襲われた日々だった。
 続くワールドツアーもできなくなり、RADWIMPSは曲を作り続けた。
 コロナのガイドラインもあって、全員がスタジオで顔を合わせるのも難しかったが、RADWIMPSはコンピューターのファイルをやり取りして曲を完成させる方法を、コロナ以前から確立していたのだ。
 それが「FOREVER DAZE」へ、「すずめの戸締まり」へと繋がっていった。
 メジャーデビュー15周年を記念した横浜アリーナでのLIVEも、配信がメインのものとなってしまった。
 そしていよいよ、様々な制約があるものの、ライブができるようになったのが、「FOREVER IN THE DAZE TOUR 2021-2022」である。
 僕が書いた本「あんときのRADWIMPS」に詳しく記したが、RADWIMPSは何度か活動停止の危機を迎えている。
 しかしそのたびごとに蘇り、またバンドができる喜びに満ち溢れた音源を発表してきた。
 今回も様々な痛みを抱えながらも、それでもバンド活動をリスタートできるという輝きに覆われている。
 彼らは生粋のバンドマンなのだと、痛感させてくれる。それぞれが力を合わせて奇跡を巻き起こす、それがロックバンドだ。 
 僕たちは、ロックバンドを信じている。
 その不死身の勇姿を、是非体験を。
 
 そして、「KANASHIBARI feat.ao」。
 テレビ朝日系火曜21時放送、ドラマ「unknown」の主題歌である。
「おっさんずラブ」も手掛けたプロデューサーの貴島彩理さんからの、熱いオファーで実現した。
 貴島さんは、ドラマ発表のコメントでこう語った。

RADWIMPSは私の青春でした。学生時代、「有心論」「おしゃかしゃま」を仲間たちと熱唱したり、「なんちって」は自分の曲だと思い込んでみたり、「me me she」を恋人と別れた時に聞いて号泣したり(笑)そんな、心から敬愛するRADWIMPSに主題歌を描き下ろして頂くなんて、今もまだ夢の中にいる気持ちです。
初めてお会いしたとき、死ぬほど緊張しながら『unknown』を作った理由や最終話までの物語に込めたメッセージをお話したのですが、びっくりするくらい真摯に聞いてくださったことをよく覚えています。(抜粋)

「死ぬほど緊張しながら」貴島さんが洋次郎に語ったのが、「絶望的なラブソング」が欲しいということだった。
 脚本を丁寧に読み込んでいた洋次郎が、その言葉に深く反応して曲が生まれていった。
 いつもそうだったけれど、良い曲にしよう、新しいRADWIMPSを提示しよう、という洋次郎の執念は凄く、何ヶ月もブラッシュアップを繰り返す中、曲はトランスフォーマーのように次々と発展していった。
 まばゆい変化を繰り返す中で、「絶望的なラブソング」はもうひとつの声を欲し、aoさんとのコラボレーションが実現した。まだ高校生のaoさんは、素晴らしい声で曲を着地させてくれた。
 aoさんもRADWIMPSが好きで、オファーが来た時はひどく驚かれたそうだ。
 ドラマのプロデューサーの貴島さんも、僕が最初にお会いした時、私の青春はRADWIMPSに彩られていたと語ってくれた。 
 これを読んでくれているあなたもそうだろうけれど、そういう人たちがRADWIMPSを支え、突き動かしてくれている。
 RADWIMPSの曲が人の心の中に入りその人のものになって、新たな出会いを繰り返していく。
 そういう幸せなウイルスであればと思う。
 それも、ロックバンドが起こす奇跡だ。
「FOREVER IN THE DAZE TOUR 2021-2022」、そして「KANASHIBARI feat.ao」。
 ロックバンドなんてもんを、やってきてよかった、聴いてきてよかった。
 そう思ってもらえたら。そんな、春。
 北米ツアー中、是非堪能してください。

(追記)
 サンノゼから、昨日LAに入りました。早起きして、ホテルでこれを書いています。窓からなだらかな丘が見えて、うっすら曇り空。陽が出てから、熱くなりそう。本日は、6000人の観客を集めてのライブです。こんなに人種を超えて愛されているのかと、圧倒されています。メンバーは元気です。
 幸せウイルス、巻き散らかしてきます。

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12:04

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