パレード

パレード

 大ヒットした映画「余命10年」でRADWIMPSは藤井道人監督とタッグを組み、初めて実写映画のサウンドトラックを制作した。
 昨日公開されたNetflix映画「パレード」は、野田洋次郎名義となるがそれに続く2度目の藤井監督とのタッグである。
 今まで担当してきたアニメ映画のサントラでは、映像の制作に時間がかかるため、簡易的に手書きの絵が動く、ビデオコンテと呼ばれるものを見ながら制作をしていた。
 サウンドトラックの制作現場では、レコーディングスタジオのPCに映像を取り込み、それを見ながら検証を続けていく。
 実写映画なので、日本屈指の俳優たちが藤井監督の演出で繰り広げる、その動きや生々しさが、目に痛いくらい飛び込んでくる。
 瞳から溢れ落ちる涙、笑い顔のしわの一本にまで、その説得力が凄かった。
「登場人物たちにどんな音で寄り添うべきなのか、背中を押すべきなのか、幾度もの苦悩もありました」と「余命10年」のサウンドトラックに関して、洋次郎は語っている。
 優れた映画音楽は、登場人物の心持ちや物語の進む方向など、セリフで表現しない部分の感情をすくい取って、観客に提示していく。
 今回の「パレード」のサントラに収録されている楽曲は、洋次郎がボーカルを務める主題歌「なみしぐさ」を含み、全35曲である。
 昨年RADWIMPSは、4月から北米ツアー、5月はヨーロッパツアー、6月は日本ツアー、7月はアジアツアー、10月にはオーストラリアツアー、と精力的に動いていた。
 映画では、これ以上映像に変更を加えない状態を、ピクチャーロックと呼ぶ。
 ピクチャーロックされた映像を観ながら、どのシーンに何分何秒の音楽が必要なのかなどを打ち合わせしていく。
 今当時のメールを読み返していくと、映画サイドからその打ち合わせを5月末くらいに実施したいと打診が来ていたが、ヨーロッパツアー中だったため、帰国直後に行われている。
 何度も監督とのキャッチボールが続き、楽曲制作からレコーディングへと、まさに心血を注いで作られていった。
 
 僕はそもそも映画のサウンドトラックも愛聴しているのだが、今回の「パレード」の音楽には圧倒されてしまった。
 語りすぎていないが、ひと言も足りない言葉はない。あまりに端正で静謐な中に、登場人物たちの感情が渦巻いているようで。
「パレード」は、生と死が大きく横たわっている映画だ。
 キービジュアルには、「ここは、想いを残した者たちが 集う場所」とコピーが付けられている。
 これはあくまで僕の個人的な感想なのだけれど、「余命10年」で小松菜奈さんが演じた主人公・茉莉が旅立った先にも、「パレード」の世界があったのではと思う。
 映画は昨日公開されているので、是非音楽とともに体験してみてください。
 サウンドトラックは配信中。CDは3月13日リリースで、予約受付中です。

 https://lnk.to/ny_paradesshop

                  
                                                  ワタナベ

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05:03

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