いよいよ公開された「天気の子」。
なんて言っていいのか分からない、不思議な気持ちでいる。
2年間に渡った長い旅。情報解禁まで、誰にも言えなかった。
そのあいだ、新海監督と洋次郎の「良いものを、凄いものを作るんだ」と言う強靭な意志が、ずっとプロジェクトのど真ん中に帆柱のようにあった。
我々スタッフは船に乗り込む前に、嵐のように全員ドバーンとかっさらわれて、気づくと乗組員として必死で手足を動かしていた。
2人を繋ぎ止めて背中を押し続けるのが、川村元気プロデューサー。
新海監督、RADWIMPS、川村さんを中心に、「君の名は。」と同じ乗組員たちは、前作とは違う遠い地平を目指していた。
乗組員になれて幸せだったし、あれだけ強い意志と集中力で取り組んだら、新海監督と洋次郎は何でもできちゃうんじゃないかって思った。
誰かがどこかで、いつもあきらめる。
もう無理だと、別な道を探す人もいる。
旅をやめて、船を降りる人もいる。
あのふたりは一歩も引かずに、絶対にあきらめずに戦い続けた。
漫画のヒーローみたいだった。
2年間を振り返ると、とにかくこの意志が凄かったと思う。
発売中の小説「天気の子」でも、新海監督のあとがき、洋次郎の解説が、最後に掲載されている。ふたりの交差する思いがわかる素晴らしい内容なのでオススメです。
「君の名は。」よりもキャッチボールは多岐に及び、膨大な迷路が生まれたが、最後には巨大で美しい建築物のようになっていった。
「曲は全部揃った、これで大丈夫」と監督が言っているのに、「まだ先に行ける」と新曲は作られたし、「ここは歌詞よりセリフを活かして」と洋次郎が言っているのに、監督が「歌詞を聴かせたい」とセリフをカットしたり。
映画音楽とは、なんと奥が深い作業なのだろうと思う。
絵とセリフ、効果音。そこにどのようなタイミングで、どのような音量で音楽が入ってくるのが最も映画にふさわしいのか。
曲が完成してからも、セリフをちゃんと聞かせたいから、チェロの音量をほんの少し下げよう。
ここの部分は音楽で引っ張りたいから、セリフははっきり聞こえなくても大丈夫。
ピアノが出てくるのを、あと2秒遅らせよう。
などのミリ単位の修正で、突然涙が出そうになるほど心が揺さぶられた。
それは、素晴らしい体験だった。
また、印象的だったことのひとつに「音響」がある。
映画館には、家庭には滅多にない音響システムがある。劇場に来て良かったと観客に思って欲しいと、ひとつの音の響き方にも、大変なこだわりが詰まっている。
文字で描くと「ドーン!」と言う音に、どのくらいの迫力を与えられるか。
「天気の子」は、劇場で体験する。と言う側面もある。是非劇場で、浴びて頂きたい。
19日の午前0時、新宿で行われた世界最速上映にみんなで行った。
監督や洋次郎が、舞台挨拶に立った。
お客さんの顔を見て、映画が、音楽が、届いたんだって実感した。
嬉しかった。挨拶が終わった楽屋がわりの廊下で、みんなでたくさん握手をした。
でもまだこれから。始まったばかり。
長い長い時間をかけて、高い山の上にあるスタート地点に立ったのだ。
目の前にはもっと高い山があって、見上げてもゴールはかすんで見えない。
遠くまで。たどり着こう。
「君の名は。」と「天気の子」のおかげで、アニメーションの素晴らしさ、美しさ、無限の可能性を、改めて知ることができました。良いアニメーションを作ろうと取り組むスタッフの誠実さや粘り強さは、我々も音楽を作るスタッフとして、大変な励みとなりました。
京都アニメーションの事件で亡くなられた皆様、心よりご冥福をお祈りいたします。
本当に残念です。
渡辺
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