ニューシングル、本日発売!
手にとってくれたあなた、ありがとう!
「カタルシスト」と「HINOMARU」、とても大切な2曲が生まれました。
お店やツアー会場では、フリーペーパー「ボクチン号外」も配付中。
今回の「ボクチン号外」用に書いた原稿があるんだけど、スペースが足りなくて載せられなかった、汗ジャケに関するお話。
発売日だし、せっかく書いたんだし、ここに載せさせてもらいます。
全然関係ないけれど、今朝目の前を歩いていたオジサンが、クーラーバックをたぶんショルダーバッグとして使っていて、その斬新なスタイルが気になって仕方がない。
クーラーバックから文庫本とか出すのかな。
いつでも冷たいジュースが飲めて気持ち良いのかな。
どうなんだろうか、使い心地や周囲の反応は。
クーラーバックとバンダナ。
あなたもいかがですか、この夏。
「ボクチン号外」
新曲「カタルシスト」は、野田洋次郎が「スポーツをテーマに曲を作り始めてみたら、面白くなってきた」とスタッフに伝えたのがキックオフとなり動き出していった。
あっと言う間にデモ音源が届けれられ、スタッフは妄想を始めた。
スポーツをモチーフとしたシングルをリリースしよう。
RADWIMPS初のグッズ付きシングルはどうだろう。
RADWIMPS初のシングルをひっさげてのツアー。
どんどん膨らんでいった。
今回は、いろいろと大変で面白かった「汗ジャケ」のお話です。
スポーツをテーマにしたシングル。
ジャケットどうしよう。
グッズ、何にしよう。
レコード会社のスタッフである僕と堀越はメンバーとも相談して、アートディレクションを博報堂の小野勇介さんに依頼した。
詳細説明の打ち合わせが終わり、「面白そうですね。少し考えて連絡します」と言われた。
1週間くらいして、小野さんから電話が。オフィスのレストランで待ち合わせ。
「歌詞を読みながら、デモ音源を何度も何度も聴きました。スポーツをテーマにした曲だけど、そこから派生したいろいろな感情を受け止める曲だと思ったんですね。勝ち負けではなく、自分の高みを目指していったり、スポーツ選手だけじゃなくて、全部を取り込んでしまう曲。RADWIMPSらしいなって。RADWIMPSってずっと新しいものを提示してきたイメージがあるから、僕がやるなら誰も見たことがないジャケットにしたいなって思いました」
小野さんがそこでちょっと何かたくらんでるかのように、「ちょっと待っててくださいね」と席を立ち、レストランのカウンターから水の入ったコップをひとつ持って帰ってきた。
喉渇いてんのかな?と思っていたら、ニヤッと笑ってこう言った。
「スポーツを、何か別なものに置き換えてみたらどうなるだろう。と考えて思ったのは、汗。スポーツと言えば、汗。ジャケットが、汗をかいていたら面白いでしょう」
「ジャケットが汗?」
何かとても大変なことが始まっていくような既視感と、ワクワクがあった。
「そう、汗。こんな具合に」
小野さんは、カバンからCDのケースを出した。
左手に持ち、水の入ったコップに右手の指先を突っ込み、CDに何度か水滴をバラまいた。
CDは水滴にまみれ、確かに汗をかいているようだった。
まんまと小野さんのプレゼンに取り込まれ、想定されていたであろうセリフを言った。
「汗をかくジャケット、面白いけれど、どうやるんですか?」
またも、ニヤッと笑った小野さん。
「ジェルネイルってわかります?ネイルサロンが爪にデコレーションして、紫外線を当てると固くなるジェルがあって、それと原理的に似たインクがあるんです。それで汗を作ってCDに吸着させれば、こういうふうに固まるはずなんです」
面白いと思ったけれど、予算的なもの、納期にどのくらいかかるのか、輸送時に割れたりしないのか、などなど、レコード会社としてのいろいろな心配があったので、それをそのまま伝え、お互い実現に向けて調べてみることにした。
しばらくして、また小野さんと会った。
既に印刷業者と打ち合わせを重ね、サンプルを作っていた。
透明なシールに、水滴が印刷されていた。
これを工場で手作業で、CDケースに貼っていく作戦だった。
「わー!すごい!」なんて言っていたら、
「色が黄色っぽくなってしまっているのと、もっと水滴の丸みが出ないと使えないですね」と冷静だった。
そう言われてみれば、そのようだった。
透明なシールを作る過程で、シールに気泡が入ってしまう問題もあるらしい。
水滴の丸みが出ないのは、インクの硬さを調整すれば何とかなるかもしれない。
インクを盛った時に、柔らかすぎると重力で横に広がってしまい、丸みが出ない。
固すぎると、インクに入った気泡が浮かび上がってこれなくて、外に出る前に固まってしまう。気泡はどうしても入ってしまうものらしい。
気泡はとても小さいので、しっかり出さないと白濁した状態になる。
こうなると半透明のブツブツになってしまい、水滴には見えない。
「もう少しな気がするんですけど、なかなか届かない。うまくいかないんですよね」
インクの固さを何パターンも試しながら、印刷業者に大量のサンプルを発注していた。
ここまで来ると、ジャケットのデザインと言うよりも、新商品開発や発明の領域である。
小野さんは、憔悴しているようにも見えた。
サンプルはすぐに出来上がってくるものではない。待ちながら、時間が過ぎる。
「もし、やっぱりできなかった」ら、危険である。
発売延期は、避けなければならない。
インクに集中して取り組んでいる小野さんに、
「小野さん、インクの盛りを初回盤で試すとして、通常盤はどうしましょうか。別アイディアも用意できたら安心だし」と聞いてみた。
「初回盤で、汗ジャケットがもし出来ないとなったら、企画が根底から変わってしまうので、もう少し時間くれませんか。一応ダメだった場合も考えているんですけどね」
たぶんこの時初めて、「汗ジャケ」と言う言葉が出たように思う。
ダメだった場合も考えている。
それを聞いて、一緒に行けるとこまで走ることを決める。
ところが今度は、堀越が問題を抱えていた。
水滴がうまくいったとしても、CDケースにシールを貼るのは困難だと工場から言われていた。
手作業なので、位置がずれるケースが必ず起こる。
シールだから、一回貼ったらはがせない。
シールをCDケースの内部に封入する案も出されたが、それだと外から見たら何だか分からない。
目指しているのは、「汗をかいているCDジャケット」なのだ。
「汗ジャケ」以外の問題もあった。
バンダナとCDを、どのようにパッケージするか。
こちらも専門の業者に来てもらって、ブリスターパックを型から起こして製作することになった。
バンダナは、RADWIMPSのツアーグッズを作っている会社に発注。
通常のCDはひとつの業者で全てを製作するが、ブリスターパック、バンダナ、汗ジャケシール、歌詞カード、それぞれが全部別々の業者に発注するしかなかった。
発売日に間に合わすためには、それぞれの会社が必要な数量を同時に納品し、工場でセットアップをしなくてはならない。
シングルの発売が発表され、有難いことに見積もりの数を大幅に超える予約が入っていた。
いつまでにどのくらいの数量を作れるのかを業者に聞くと、「そんなに作れない、間に合わない。そんなに在庫を持てない」と同じことを言われたそうだ。
「そこをなんとか」と言い続けていた。
また打ち合わせ。
堀越から「シールは現実的ではない」と言われても小野さんは、黙っていたけれど表情を変えなかった。
「実はずっと考えていたことがあるんです。シールだと粘着剤があるので、どうしてもその分透明度が損なわれてしまうんですよね。それと、埃やゴミなどのノイズが入りやすい。少しでも入ってしまったら、一気に下品な感じになってしまうので」
そう言われて、やはり難しいのか?と。ここまでなのか?とも思った。
「それで解決策になるかはまだ分からないのですが、シールをやめてしまおうかと」
「え?」
まじまじと、顔を見つめた。
小野さんは、スマホを取り出した。
「この画面を保護するフィルムって、シールと違って何度でも剥がせるし、透明度も高い。問題は、コストと納期ですね。今調べているんですけれどね」
「携帯のフィルムかー」
僕と堀越は、びっくりして顔を見合わせた。
「と言うことは、CDに貼られたフィルムは、買った人が剥がして窓に貼ったりできるんですか?」
「そう言う事です」
小野さんと一緒に気泡の問題に取り組んでいた人は、日光プロセスの鈴木登さんと言った。小野さんから、「印刷において、日本のトップデザイナー達が最も信頼している人」だと紹介を受けた。
鈴木さんは既に、シールからフィルムへの転向も引き受けていた。
「不可能を可能にする」鈴木さんが、フィルムに水滴をつけてCDケースに定着できるようにしてくれた。
まだ課題はいろいろとあるが、水滴と気泡の問題が解決すれば、遂に実現の目処がたってきた。
堀越が抱えていた工場や業者との問題も、会社全体が脅威のバックアップをしてくれて、解決に向かっていた。
もう一息。
シールからフィルムに変更したら、水滴の印刷精度が高まった。
それで小野さんは、水滴の細かいデザインも加えてみることにした。
すると本物の水のように、いくつかの細かい水滴が流れてくっついてしまった。
何回やってもくっついてしまうので、最初からくっつくのを想定して水滴をデザインし始めた。
小野さんと鈴木さんの執念とも言えるサンプル作りで、とうとうイメージどおりの水滴フィルムは完成した。
あまりにサンプルを作りすぎて、見なくても指で触ればインクの盛り具合が分かるようになったと言う。
水滴のインクは同じデザインでも、置いておく時間、乾燥する時間などで、個体差が生まれた。楕円が横長になったり、いびつになったり。
全てのCDが同じではないのも、面白かった。
「大変だったと言う思い出しかないです」
鈴木さんは苦笑いをする。
本当にありがとうございました。
ここまで来てやっと、通常盤ジャケットの制作へ突入。
スポーツをテーマにした曲だから「汗」。
それをグラフィックにどう落とし込むのか。
またも小野さんと、打ち合わせ。
「サッカーのヘディングの写真って、汗が垂れずに飛び散っているでしょ?それって、写真が撮らえた決定的瞬間、歴史的瞬間のようで、スポーツを端的に表しているなと思ったんです」
「そこから発展させて、浮遊する汗。汗が浮かんでいるのはどうかなって。こないだ洋次郎さんがツイートで、汗ジャケは『もっと言うと 汗と涙ジャケ』と書いていたじゃないですか。そこに寄せてみようと思って。汗を涙に寄せていくと、スポーツ選手より、応援している人の心情も入れられて、よけいドラマチックだなと思ったんですね」
言いながら、いくつかの写真を出した。
女性や男性の、顔の周りに水滴が浮かんでいた。
「ストーリーが垣間見られるような、動画を見ているような静止画。そんなジャケットを作ったらどうかと」
動画撮影で使われる、水滴を連続した粒で飛ばす機械がある。
それでモデルの顔の上に水滴を飛ばし、小野さんが指で水滴を散らしたりして撮影。
実際に撮影した水滴に、別の水滴を合成してデザイン。
こうやって、あの通常盤ができていった。
それぞれの過程で、何度もメンバーとミーティングを行ったが、みんながブレずに一点を目指していたから、良いものになったと思う。
汗なのか、雨なのか、涙なのか
水滴をめぐって、不思議で珍しい旅をした。
Road to Catharsis Tour 2018
あなたも、良い旅を。
コメント(52)
ぴこ☆
ママ
373
はる
radnimps♡
xxxx
ママ
中学生3年生
まさかーな
ぴこ☆
KOYO
xxxx
ざーなみ
ママ
ティロリン
じゅうろう
きえ
るーぱる
mayumi.w
まるぽん
まるぽん
きぃぼう
夕
ayukin
yume
みさ
みっきー
星空かおり
hana
Yard
モモ
RADWIMPSも洋次郎も大好き♡
りな
xxxx
DADAcco
そらな
く〜
haruka😊
trks
はま
とび
ゆ
こーせー
みずず
あいうえお
ゆい
加夏
wimaps
くろ
まちゃきち